ものつくる人々Vol.4 アメリカンドリームを突き進め!〜ロサンゼルスの石川さんからのメール |
2005年7月のある日、杵屋のホームページからお問い合わせ欄に一通のメールが舞い込んできました。
「突然なメールで失礼します。初めまして石川正行と申します。私は日本でフランス料理の修業後、渡米して在住30年に
なります。1980年代にロサンゼルスにてヌーベルクイズ−ンのレストランを経営、当地においてはアメリカ初の
ヌーベルクイズーンフランス料理店として全米のマスコミから評価を頂きました。それまではアメリカでは日本人といえば
和食のレストラン経営をする方のみの時代でしたが、自分の表現を自由に発表しようとエネルギッシュに料理とデザートを
創作してきました・・・・」
失礼ながら、私は一瞬 ’奇妙なサイトでは??’と半信半疑な思いがいたしましたが更に読み続けますと、、、
「・・・その後、サンタモニカでグリルのレストランを開店した後、友人等に経営権を譲り、今現在は日本からの依頼で
レストランコンサルタントにも従事しております。これまで私も洋菓子の製造に多く関わってきましたが、和菓子の魅力を
アメリカに広めることが出来ないだろうかと兼ねてから考えておりました。全米におきましても昨今健康食ブームで
「お茶」の嗜好者も増えております。私はアメリカ人が指示する食に関しての情報提供には自信を持っております。
杵屋様の和菓子をHPで拝見して、従来の表現の枠を越えた表現が私の洋菓子作りと相通ずるものがあると感じ、ぜひ、
コンタクトをとりたくメールした次第です・・・・」
読み進むにつれ、少しずつ私の心に晴れ間が差し込んできました。
アメリカが大好きで、冒険家、一途で、まじめ、いつまでも夢を追い求める純真な方、そんな印象を受け、”アメリカ好き”
以外はなんだか自分と似た人のような気がしてきました。杵屋の商品を「作品」としてご覧いただけたことは正直嬉しい
ものがありました。
それからというもの私と石川さんは日本文化のことやアメリカでの日本食レストラン事情、和菓子店の販売実態、仲間や
家族のことなど何度もメールのやり取りをするようになりました。やりとりは情熱いっぱいの熱いものになりました。
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石川正行さん昭和21年生大阪生まれ |
シュガークラフト |
平目の素麺蒸し |
しかーし!話はそれで終わりませんでした。
なんと石川さん、私に会いに遠路はるばるロスからやって来られたのでした。たった2ヶ月の後に!
これにはさすがの私も目が米印でした。
9月のある日、これまた突然!でした。ひょっこりお店に現れた石川さんは大きな声で、
「初めましてー、大賀さん!」と、握手をしてこられました。
そして、実家の都島に住むお兄さんも一緒に連れて来られました。お兄さんはデザイン事務所を経営されてるそうで、
弟さんと感性の点で共有する部分があるせいか、なんでも話し合える仲の良いご兄弟のようでした。
私たち3人は限られた時間の中で芸術や文化、人材育成のこと、マスコミ批判などいろいろな事柄を熱く語り合い
ました。残念ながらこのコーナーで掘り下げて語ることはできませんので、次回に譲ることにいたします。
それにしても、インターネットの世界は驚きます。地球の裏に住む人同志をあっという間に結んでしまうのですから
まさに夢のようです。あまり良くない出会いが昨今のマスコミを騒がせておりますが、こんなファンタスティックな出会い
もあるんですよね。そして、石川さんだけではありません。メールマガジンを通して日本各地の大勢の方から励ましを
受け、すばらしいコミュニケーションが生まれつつあります。
みなさん、ありがとう!これからもよろしくお願いしまーす!
右から石川さんの兄平治さん、石川正行さん、私。 |
石川さんとはいつかアメリカで再開するようなことになるかも
しれません。その時は石川さんのパッションあふれる料理を食べさせていただこう。
「大賀さん、是非ロサンゼルスに支店を出してください!」
そう言い残して、石川さんは駿馬にまたがり、さっそうと土煙を舞い上げながら
去って行かれました。
・・・ええ〜勉強でした。
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PS:石川さんは日本に帰って来られる度に危惧されていらっしゃることがおありです。
それは日本人のモラルがあまりにも低下しつつあることです。石川さんだけでなく日系人の方々の多くが危機感を
持って日本を心配されておられます。
「自分にできることがあれば何とかしたい。」
本当に心の底から日本を愛していらっしゃる方だと思います。私自身、国内にいて知らず知らずに流されているよう
な気もしてまいります。これからはもっとグローバルに「もの作り」を考えていく必要があると思いました。
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