大阪府豊中市
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   ものつくる人々Vol.3 日本一!の枝豆、丹波篠山黒大豆 2004.9.30


  昨年のちょうどこの時期、篠山産黒大豆の枝豆を友人からいただいて超感動した。普通の枝豆よりも一回りも
 二回りも大きく、柔らかくて甘い。もう、枝豆、枝豆、枝豆!!・・・で、食べてる間に左右の手に次の枝豆を持ちながら
 「早よー! 次ー!」って感じなのだ。あれ以来、わたしは篠山の枝豆にゾッコン、今年はなんとしても実際にこの目で
 畑に実る姿を確かめたい。思ったら即のわたし、いざ、丹波へ!

  友人の上元一泰君とは大阪府立桜塚高校の同級生、当時は8ミリ映画全盛の頃で、共に夜遅くまで、学校の放送室
 で製作に没頭した仲でした。彼は現在、川西大和郵便局の三年目の局長さんである。
  枝豆と郵便局がどう繋がるのか?実は前局長の原田寛さんのご実家が篠山の農家で枝豆作りをなさっていたこと
 から、兵庫県川西市近郊の12の郵便局が結集した川西北部会特産会が「黒大豆の枝豆」を販売から発送まで取り扱
 うようになったのです。郵政民営化がやんや叫ばれる今日、地域の郵便局は生命の存続をかけて競うように独自の
 サービスを展開しつつあるのです。

  「これからの局員はなによりもまず、取り扱う商品を食べたり、試したりしてよく把握した上で、愛着を持つことが大事
 やろね。でないと、お客さんに真心が伝わるわけがない。」

 当店から片道1時間半の車中、上元君はサービス業としての郵便事業の実態や課題などをわたしに熱く語ってくれた。
 手前味噌になるかもしれないが、杵屋の店員さん方が製造中に「おいしそー。店長、できたて買っていいですかー?」
 とごっそごっそ持って帰ってますが、わたしとしてはありがたい限りであります。仕事が済んでも彼女らは宣伝マンに
 なってくれているのだから。

  川西から一庫ダムに沿って国道173号線をひたすら北上する。トンネルをいくつも越え能勢町から更に20分程
 走ると、もう昼前なのにうっすらと霧に包まれた篠山の田園風景が拡がった。刈り取ったばかりの田んぼの向こうに
 紅い実をつけた柿の木が2本、そして上元君が指差した先に!あるわ、あるわ、 枝豆畑!!

丹波篠山の風景黒大豆の枝豆畑


黒大豆の枝豆畑
  枝豆畑のまん前にあるレストランでわたし達は前局長の原田さん
と、同姓の原田忠夫さん(74歳)とあいさつを交わした。緊張が走る。
わたしが世の中で最も尊敬する民人、「お百姓さん」だ。
 もはや愛する豊中にはほとんど影の存在でしかなくなってしまった
人々。なんだか天然記念物にでも遭遇したかのような、頭を垂れて
拝みたくなるような貴重な出会いである。都会の子供達がこういう
人々を知らずに育つのは教育上健康的ではないとわたしは思う。
岩石のようなこのごつい手をみんなにに触らせてあげたい。
 「みんなのご飯、作ってくれている手だよ。」 って。

 「こんなかっこうですいません。」
仕事中に時間を割いてご足労願ったのに腰の低さにこちらが恐縮
する。


  ところでこの丹波篠山の黒大豆が何故これほど発育が良く、ふっくらした大粒に育つのか。
 海抜200メートルの篠山は四方を山々に囲まれ広大な盆地を形成している。この地形は山の土壌の栄養分を
 低地にかき集めるような仕組みをつくり、大地を肥沃にした。また、盆地特有の気候で昼夜の寒暖の差の大きいことも
 生育の好条件になっているという。

  話が一区切りついたところで、わたしたちは原田さん達の軽トラに分乗して枝豆畑へ向かった。今年の夏は日照に
 恵まれ、8割がた豊作が期待されていたが、8月下旬頃から連続して台風に見舞われ、一部作物が風で倒れる被害を
 被る事になった。が、幾重にも張り巡らしたフェンスのお陰で、なんとか黒大豆の実りを救うことができたようだ。
  原田さんがまるでお産の子を取り上げるように幸せそうに、葉っぱを掻き分けて、そのたわわの実りをわたしに見せ
 てくれた。




たわわに実る房



 後ろのネットは鹿除け
 


  「おお!! 枝豆。」
 もう2,3日で出荷できるそうである。鹿よけのネットや猪よけの電線、暴風対策のフェンス、低農薬の害虫対策、そして
 出荷の梱包、ほんとうにご苦労さんである。
  代々、この土地でこつこつと農業を営んできた民人の素朴で頑強で、それでいてあらゆる生命に優しい精神に
 わたしは日本人のあのかつて誇りにしていた「大和魂」を思い出すことができた。
 もうすっかり忘れようとしていた「大和の魂」が時間とお金の渦巻く都会の喧騒から北摂の山を一つ、二つ越えたところで、
 まだまだしっかりと根を張り、静かに伝承されているのだ。
 丹波篠山黒大豆の枝豆が「うまい」理由はどうやらここにその本質があるい違いない。
  ええ勉強でした、モグモグ。





左から原田忠夫さん、前局長 原田寛さん、
現局長 上元一泰くん わたし



なお、お問い合わせご希望の方は・・・
 生産者事務局  原田 寛 TEL079-557-0365  川西大和郵便局 TEL072-794-0500・・・まで。


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